時制と証拠性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/04 15:02 UTC 版)
タリアナ語の特色の一つとして、現在・近過去・遠過去の時制と結びついた証拠性が挙げられる。これは話し手がどのような手段で情報を得たかを区別することであり、視覚的に見て分かること(英: visual)、視覚以外の感覚によって分かること(英: non-visual)、推論によって導き出せること(英: inferred)、人づてに聞いて分かること(英: reported)という基本的に4つのカテゴリが区別される。たとえば、tʃinu niwhã-ka di-na という文は「犬が彼を噛んだ」という意味であるが、この文には〈話し手が出来事を目撃した〉ことが含意されている。更に先述の文の -ka を -mahka に置き換えれば〈彼が犬に噛まれた時にあげた悲鳴を話し手が聞いた〉ことが、-sika に置き換えれば〈話し手が彼の傷跡を見て出来事の存在を推測した〉ことが、-pidaka に置き換えれば〈話し手が出来事を人づてに聞いて知った〉ことがそれぞれ含意される。更に話者によってはトゥカノ語の -a 〈推論の材料が視覚的に分かるものであること〉に対応する -nihka も用い、先の文では -sika と互換性のあるものとなる。時制によって使用可能な証拠性の種類数に差が存在するが、先述の例のように過去時制であれば5種類全てに出現の可能性がある。これは東トゥカノ諸語とも共通する特徴である。肯定節において証拠性がとる形の一覧は以下の通りである。 現在近過去遠過去visual-naka -ka -na non-visual-mha -mahka -mhana inferred generic- -sika -sina inferred specific- -nihka -nhina reported-pida -pidaka -pidana
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