日本国憲法下の一審制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/10 21:01 UTC 版)
日本国憲法は裁判に、少なくとも二審制、あるいは三審制を保障していると言われているが、次のような場合は、事実上の一審制となっている。 裁判官が裁量権の全権を持っている場合 裁判所の決定に対して抗告ができる手続は、当事者に申立権が認められている手続に限られる。すなわち、裁判所の職権発動に委ねられている手続であって、当事者は職権発動を促すことができるが申立権はないとされている手続(弁論の分離・併合(民訴法152条)、弁論の再開(民訴法153条)など)に関する決定に対しては、当事者は抗告ができない。 証拠調べの必要性がないとしてした文書提出命令申立棄却決定の場合 裁判所は、たとえ文書提出義務(民事訴訟法第220条)のある証拠に関する申立てであっても、証拠調べの必要性がないことを理由として申立てを棄却することができる。さらに最高裁判所は2000年、証拠調べの必要性がないことを理由としてした棄却決定に対する抗告を認めないことを判例の傍論として示した。これ以降は判例のみを見ても、「証拠調べの必要性がない」として抗告を認めなかった事例は複数存在する。
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