新型コロナウイルスによる急性呼吸器疾患(COVID-19)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/28 06:01 UTC 版)
「高流量鼻カニュラ酸素療法」の記事における「新型コロナウイルスによる急性呼吸器疾患(COVID-19)」の解説
高流量鼻カニュラ酸素療法(HFNC)は、新型コロナウイルスによる急性呼吸器疾患(COVID-19)に対して一定の効果が見込まれる。ただし、一部の重症患者(P/F比が低い患者)では、HFNCのみでの酸素化維持は困難である。中国重慶市での研究によれば、重症患者のほとんどが高流量鼻カニューレ(HFNC)による治療を受けており、補助酸素療法のなかで最も多く使用されていた。その中でも比較的軽症な患者(P/F比が200を超える患者)ではHFNCによる補助酸素療法は奏功したが、さらに重症な患者(P/F比が200以下の患者)では、HFNCを使用した患者の41%が非侵襲的陽圧換気法(NPPV)や気管挿管による人工換気などのより高レベルな補助酸素療法を必要とした。 HFNCなどの補助酸素療法では、患者の呼吸によってある程度エアロゾルが空気中に放出され、医療従事者の感染の原因となりうるが、その飛散距離は通常の酸素マスクと比較して有意な差は認められない。COVID-19の感染が拡大した当初は、多数の臨床医が感染したためにエアロゾル発生による院内感染の懸念が生じ、HFNCを回避する傾向があった。しかしその後、HFNCの利用は酸素マスクを使用した酸素療法と比較して環境への分散または細菌汚染のいずれも増加させないとの報告が出された。さらに同報告によれば、HFNCでは患者は咳やくしゃみの際のエアロゾル伝播を減らすためにサージカルマスクを着用できるため、サージカルマスクが着用できない酸素マスクと比較してむしろ利点となりうるとしている。
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