敷金の充当
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/20 07:49 UTC 版)
賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない(民法605条の2第3項)。 延滞賃料 原状回復義務賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない(621条)。 621条は2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で明文化された規定で、判例(最判平成17年12月16日集民218巻1239頁)に基づき通常損耗や経年変化を対象から除外した。また、賃借人の責めに帰することができない事由による損傷も従来の一般的な理解に従い対象から除外した。 国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」でも、判例に基づいて通常損耗・経年変化に当たる例と通常損耗・経年変化に当たらない例に分けてガイドラインが設けられてきた。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、通常損耗・経年変化に当たる例として、家具などの設置跡、地震によって破損したガラス、鍵の取替え(破損や紛失のない場合)がある。また、通常損耗・経年変化に当たらない例として、引っ越し時のひっかきキズ、タバコのヤニ等、飼育ペットによるキズ等、その他日常の不適切な手入れや用法違反が原因のものがある。
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