数学におけるアリティ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 09:46 UTC 版)
典型的には、関数fの定義域が、ある集合Sのn項の直積である場合、fのアリティはnである(n-変数あるいは n-元函数である)と言われる。 また、ある集合S上のn-項関係 (n-ary relation) は、形式的に集合のn項の直積Snの部分集合、もしくはSnを定義域とする特性関数として表され、これに対してもnをアリティと呼ぶ。 この概念は特に代数構造を抽象化して統一的に扱おうとする普遍代数学において有用である。 例えば群は、ある空でない集合S上に2項演算 (-)・(-) : S × S → S と、定数である単位元e ∈ S、および逆元を与える単項演算 (-)−1 : S → S が与えられたものと見ることができる。 単位元は形式上 0 項の演算 e : 1 → S (ただし、1 = {*} は 1 点集合) と同一視できるので、群とは、集合Sに異なるアリティをもつ演算の集合 Ω = {e, (-)−1, ・} および演算が満たすべき等式の集合 E = {e・x = x, x・e = x, x・x−1 = e, x−1・x = e, (x・y)・z = x・(y・z)} が与えられたものだとみることができる。 同様に環とは、非空の集合 S と、(特定の性質 E を備えた) 4 つの演算 Ω = {0, −, +, ・} の対だとみなすことができる。 これら 4 つの演算はすべて値域を S とするが、定義域のアリティは様々である。 演算からアリティを与える関数ar: Ω → Nを考えるなら、環の場合 ar(0) = 0, ar(-) = 1, ar(+) = ar(・) = 2 のようになる。 このようにしてアリティの異なる演算の集合を通じて様々な代数構造を統一的に扱う道が開ける。
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