数学におけるタプル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/24 18:54 UTC 版)
詳細は「組 (数学)」を参照 集合論では n 組 (n-tuple) とは n 個の対象 a1, a2, ..., an の順序づけられた組であり、普通、括弧でくくって (a1, a2, a3, ..., an) のように書かれる。 タプルが順序づけられているということは、 「2つの n 組 (a1, a2, ..., an) と (b1, b2, ..., bn) が等しい」という表現の意味することが、 「対応する位置の要素がすべて等しいとき」すなわち 「 (a1 = b1) ∧ (a2 = b2) ∧ ... ∧ (an = bn) であるとき、かつそのときに限ること」 を意味する。 タプルと直積集合には密接な関係があり、n 組の i 番目の対象が集合 Ai の要素とみなされるならば、n 組は直積集合 A1 × A2 × ... × An の要素である。 2 つの要素 a ∈ A, b ∈ B の順序づけられた組 (a, b) ∈ A × B は特に順序対 (ordered pair) と呼ばれる。 形式上は逆に、この順序対を元とすることによって一般の n 組 (n ≧ 2) を、例えば (a1, a2, a3, ..., an) = (...((a1, a2), a3), ..., an) のようにして構成的に定めることもできる。 タプルは様々な数学概念を定義するためにも利用される。 例えば、有限オートマトンは、入力アルファベットの有限集合 Σ, 状態の有限集合 S, 初期状態 s0 ∈ S, 遷移関数 δ : Σ × S → S, 受理状態の有限集合 F ⊆ S の 5 つ組 (quintuple, 5-tuple) (Σ, S, s0, δ, F) として定められ、有向グラフは、頂点集合 V と辺の集合 A ⊆ V × V の順序対 (V, A) として定められる。 なお数ベクトルも同じように要素の順序づけられた並びとして表されるが、数学の形式上、ある線形空間の要素とみなされるベクトルは実数、複素数など同じ体の要素からなるものである。 対して、タプルは任意の集合の要素を並べただけのずっと一般的な概念であるといえる。
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