数学などにおける「任意」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/27 08:05 UTC 版)
数学や論理学において「任意の〜」(英: arbitrary )とは、「特別な選び方をしない」という意味であり、一般に、英語の「any〜」、日本語の 「どの〜でも」「いずれの〜でも」といった語と置き換えることが可能である。 たとえば、 任意の実数 x について [条件A] が成り立つ という表現は、x として 実数の中からどの数を選んでも [条件A] が成り立つ、という意味である。 たいていの場合、「任意の」は「すべての」(all) への置き換えも可能である。しかし文脈によっては、any への置き換えではなく all への置き換えを行うと、誤解を招くこともあるので注意が必要である。たとえば、A = {1, 3} , B = {2, 4} としたとき、A に属する任意の要素と B に属する任意の要素を加算した結果は奇数である(1+2, 1+4, 3+2, 3+4 の4通りが考えられるが、どれも奇数である)。しかし、A に属するすべての要素と B に属するすべての要素を加算した結果は、次の2通りに解釈できる。 A に属するすべての要素 1 と 3 、および B に属するすべての要素 2 と 4 のすべてを加算する。つまり、1 と 3 と 2 と 4 をすべて加算する。その結果は 1 + 3 + 2 + 4 = 10 であり、偶数となる。 A に属するすべての要素 1 と 3 のうちどれかと、B に属するすべての要素 2 と 4 のうちどれかを加算する。つまり、1+2, 1+4, 3+2, 3+4 のどれかの加算を行う。どの加算を行っても、結果は奇数である(全称命題も参照のこと)。 「任意の」を表す記号(量化子)としては広く ∀ (全称記号) が用いられる。この全称量化子 (universal quantifier) はドイツの論理学者ゲルハルト・ゲンツェンによって導入された。 「量化」および「全称記号」も参照 数学関連 反例、例外、特異点
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