数列の極限
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/08 16:13 UTC 版)

n | n sin 1/n |
---|---|
1 | 0.841471 |
2 | 0.958851 |
… | … |
10 | 0.998334 |
… | … |
100 | 0.999983 |
正整数 n が大きくなるにつれて、値 n ⋅ sin1/n は 1 にいくらでも近くなる。「数列 n ⋅ sin1/n の極限は 1 である」という。
数学において、数列や点列の極限(英: limit of a sequence)は数列や点列の項が「近づく」値である[1]。そのような極限が存在すれば、その列は収束する (convergent) と言われる。収束しない列は発散する (divergent) と言われる[2]。点列の極限は解析学のすべての基本である[1]。
極限は任意の距離空間や位相空間で定義できるが、普通まず実数の場合に出会う。
歴史
ギリシアの哲学者エレアのゼノンは極限過程に関するパラドックスの定式化で有名である。
レウキッポス、デモクリトス、アンティポン、エウドクソス、アルキメデスは、面積や体積を決定するために近似値の無限列を用いる取り尽くし法を発展させた。アルキメデスは現在では幾何級数と呼ばれるものを計算することに成功した。
ニュートンは以下に関する彼の仕事で級数を扱った:Analysis with infinite series (written in 1669, circulated in manuscript, published in 1711), Method of fluxions and infinite series (written in 1671, published in English translation in 1736, Latin original published much later) and Tractatus de Quadratura Curvarum (written in 1693, published in 1704 as an Appendix to his Optiks)。後の仕事では、ニュートンは (x + o)n の二項展開を考え、極限を取る(o → 0 とする)ことによって線型化した。
18世紀には、オイラーのような数学者はいくつかの発散級数の和を求めることに正しい瞬間で止めることによって成功した;彼らは極限が存在するかどうかはそれが計算できる限りそれほど注意を払わなかった。世紀の終わりに、ラグランジュは彼の Théorie des fonctions analytiques (1797) で厳密さの欠如が解析学のさらなる発展を阻害すると述べた。ガウスは超幾何級数の彼の研究 (1813) において初めてどのような条件下で級数が極限に収束するかを厳密に研究した。
極限の現代的な定義(任意の ε に対して、ある N が存在して、……)はベルナルト・ボルツァーノ (Der binomische Lehrsatz, Prague 1816, little noticed at the time) とカール・ワイエルシュトラスによって1870年代に与えられた。
実数

実数において、数 L が数列 (xn) の極限であるとは、数列の数が L にどんどん近づき、他の数には近づかないことをいう。
例
- ある定数 c について xn = c ならば、xn → c である[証明 1]。
- xn = 1/n ならば、xn → 0 である[証明 2]。
- n が偶数のときには xn = 1/n で、n が奇数のときには xn = 1/n2 ならば、xn → 0 である。(n が奇数のときにはいつでも xn+1 > xn であるという事実は無関係である。)
- 任意の実数が与えられたとき、その数に収束する数列を、十進近似を取ることによって、容易に構成できる。例えば、列 0.3, 0.33, 0.333, 0.3333, … は 1/3 に収束する。十進表現 0.3333… は、
コーシー列 (xn) のプロット、青で示されていて、縦軸が xn, 横軸が n. 視覚的に、列の項が n が増大するにつれて近くなっているから、列が極限点に収束しているように見えることが分かる。実数では任意のコーシー列はある極限に収束する。 コーシー列は、最初の項を十分たくさん無視すれば最終的に項が互いにいくらでも近くなるような列である。コーシー列の概念は距離空間の点列の研究において、特に、実解析において、重要である。実解析における1つのとりわけ重要な結果は、列の収束のコーシーの判定法である:実数列が収束することとそれがコーシー列であることは同値である。これは他の完備距離空間においても正しい。
超実数における定義
超実数を用いた極限の定義は添え字の「非常に大きい」値に対して対応する項が極限に「非常に近い」という直感を定式化する。より正確には、実数列 (xn) が L に収束するとは、任意の無限大超自然数 H に対して、項 xH が L に無限に近い、すなわち差 xH − L が無限小であることをいう。同じことだが、L は xH の標準部分である:
数列の極限
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 09:32 UTC 版)
詳細は「数列の極限」を参照 「収束級数」も参照 実数の数列が収束する (converge) あるいは有限の極限を持つ若しくは極限が有限確定であるとは、番号が進むにつれてその数列の項がある1つの値に限りなく近づいていくことをいう。このとき確定する値をその数列の極限値という。収束しない数列は発散する(diverge)といい、それらはさらに極限を持つものと持たないものに分かれる。発散する数列のうち極限を持つものには、正の無限大に発散するものと負の無限大に発散するものがあり、極限が確定しないものは振動する(oscillate)という。
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