数体上のラマヌジャン予想に向けた境界
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/07 14:01 UTC 版)
「ラマヌジャン・ピーターソン予想」の記事における「数体上のラマヌジャン予想に向けた境界」の解説
数体の場合の一般ラマヌジャン予想の最良の境界を与える問題は、多くの数学者の関心を呼んできた。一つ一つの改善が現代数論の里程標と考えられている。GL(n) のラマヌジャン境界を理解するために、ユニタリなカスプ保型表現 π = ⊗' πv を考える。ベルンシュタイン=ゼレヴィンスキー分類(英語版)によれば、表現 τ 1 , v ⊗ ⋯ ⊗ τ d , v {\displaystyle \tau _{1,v}\otimes \cdots \otimes \tau _{d,v}} からユニタリな放物型誘導により個々のp-進群の表現 π v {\displaystyle \pi _{v}} を得ることができる。ここで個々の τ i , v {\displaystyle \tau _{i,v}} は素点(place) v におけるGL(ni)の表現であり、緩増加な τ i 0 , v {\displaystyle \tau _{i_{0},v}} により τ i 0 , v ⊗ | det | v σ i , v {\displaystyle \tau _{i_{0},v}\otimes |\det |_{v}^{\sigma _{i,v}}} の形で表わせる。n ≥ 2 とすると、ラマヌジャン境界は max i | σ i , v | ≤ δ {\displaystyle \max _{i}|\sigma _{i,v}|\leq \delta } となるような数値 δ ≥ 0 である。ラングランズ対応はアルキメデス素点(英語版)(archimedean valuation)に対して使うことができる。一般ラマヌジャン予想は境界が δ = 0 であることと同値である。 Jacquet, Piatetski-Shapiro & Shalika (1981) は、一般線型群 GL(n) での最初の境界 δ ≤ 1/2 を与えたが、これは自明な境界と呼ばれている。重要なブレイクスルーとなったのはLuo, Rudnick & Sarnak (1999) で、任意の n と任意の数体に対して現在最良の一般的な境界 δ ≡ 1/2 - 1/(n2+1) を得た。GL(2) の場合には、キム(Kim)とサルナック(Sarnak)が、数体が有理数体である場合に δ = 7/64 という画期的な境界を得ている。これは、ラングランズ・シャヒーディの方法を通して得た対称的な 4乗数についての Kim (2002) の函手性の結果として得られた。キム=サルナック境界は任意の数体へ一般化できる(Blomer & Brumley (2011))。 GL(n) 以外の簡約群についての一般ラマヌジャン予想は、ラングランズ函手性の原理から導出できる。重要な例として古典群(英語版)(classical group)があり、ここでの最良の境界はラングランズの函手の持ち上げの結果としてCogdell et al. (2004) にて得られた。
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