放出源の恒星
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 05:16 UTC 版)
「ハービッグ・ハロー天体」の記事における「放出源の恒星」の解説
ハービッグ・ハロー天体を生み出す恒星は全て非常に若い星である。最も若いものではガス円盤から誕生したばかりの原始星の段階にあるものもある。研究者はこれらの親星を、赤外線放射の強度によって 0,I,II,III の各クラスに分類している 。赤外線を多く放射している星は、星の周囲に放射を冷却する物質がより多く取り巻いていることを示唆しており、従ってまだ星に向かって物質が集積している段階にあることを示す。クラス 0 という分類が存在するのは、クラスI,II,III の定義を定めた後でさらに若いクラス 0 の星が発見されたためである。 クラス 0 の天体は年齢がわずか数千年で、まだ中心部で核融合反応が始まっていない。その代わりに星の物質が中心に向かって収縮する際に放出される重力ポテンシャルエネルギーのみによって輝いている 。クラス I 天体は中心核で核融合反応は始まっているが、ガスや塵が星周円盤から星に向かってまだ降着している段階の星である。この段階の星は一般に濃い塵とガスの雲にまだ囲まれており、星から放射される光を全て隠しているため、赤外線や電波の波長でしか観測できない。クラス II 天体ではガスや塵の降着はほぼ終了しているが、まだ星周円盤に取り囲まれている。クラス III 天体は降着円盤の痕跡のみが残っているものである。 最近の研究では、ハービッグ・ハロー天体の親星の約80%が連星もしくは多重連星であることが分かっている。この割合は主系列にある低質量星が連星である割合に比べると非常に高い。このことは、連星系が HH 天体の元となるようなジェットを生み出しやすいことを示している可能性がある。また、多重連星系が分解する際に最も大きな物質放出が起こることを示唆する証拠も見つかっている。しかし現在では、ほとんどの恒星は多重連星系として誕生するものの、大部分の星は主系列に達する前に近くの星や高密度のガス雲との重力相互作用によって分解されるために HH 天体の親星は連星の割合が大きいのだと考えられている 。
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