攪乱坑と小礫群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/24 03:38 UTC 版)
長尾山古墳の墳頂部には発掘調査以前にコンクリート製の杭とその枠が存在した。この杭と枠はいつどのような目的で立てられたものであるか不明であり、埋葬施設を破壊している可能性があった。2010年度の第7次調査の結果、コンクリート杭と枠は深さ0.66メートルで、長尾山古墳の埋葬主体部には届いていなかったことが判明した。 また2008年度の第3次調査において、墳頂部に盗掘坑の可能性がある土質が異なる部位が見つかった。この部分については2009年度の第5次調査、2010年度の第7次調査の結果、地表面から約0.6メートル、長さ1.6メートル、最大幅1.4メートルの楕円形をした攪乱坑であることが明らかとなった。発掘の結果、攪乱坑はやはり盗掘坑である可能性が指摘されているが、古墳の遺物は検出されておらず、深さも長尾山古墳の埋葬主体部には到達していない。 2008年度の第3次調査では、墳頂部の土砂を取り除いたところ、丸みを帯びたこぶし大の大きさの小礫群を検出した。小礫群は長さ約3.8メートル、幅約1.2メートルの範囲で南北方向に広がっており、群の中央部は3ないし4石が重なるように堆積し、北端ではまばらとなっていた。また中央部の石が堆積している部分からは土師器の破片が検出され、この小礫群は古墳にそのものに由来することが明らかとなった。小礫群の分布範囲と埋葬主体部の粘土槨の陥没が目立つ部位とが一致していることから、もともと墳頂部に葺かれていた小礫が、木棺が腐ったことにより陥没したものであると考えられている。
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