損傷塩基修復における役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/21 08:39 UTC 版)
「LIG1」の記事における「損傷塩基修復における役割」の解説
DNAリガーゼIは、塩基除去修復(BER)経路の最終段階で、一本鎖DNA切断のライゲーションを行う。DNAの窒素含有塩基が活性酸素種、毒素、電離放射線などの環境の危険因子によって損傷することはよく起こる。BERは損傷した塩基の除去と置換を担う主要な修復経路である。リガーゼIはlong patch BER(LP-BER)経路に関与しており、一方リガーゼIII(英語版)はshort patch BER(single nucleotide BER、SN-BER)経路に関与している。LP-BERは4つの段階を経て進行する。まず、DNAグリコシラーゼ(英語版)がN-グリコシド結合を切断して損傷塩基を解離させ、プリンまたはピリミジン塩基が存在しないAP部位が作り出される。次の段階では、APエンドヌクレアーゼ(英語版)がAP部位の5'末端側にニックを形成し、AP部位はデオキシリボースリン酸(dRP)残基となる。LP-BER経路ではその後、DNAポリメラーゼが5'から3'方向へ新たな塩基をいくつか合成し、5'末端にdRPが存在するDNAフラップが形成される。このフラップはフラップエンドヌクレアーゼ(英語版)によって切断される。この切断によってニックを含むDNA鎖が残され、DNAリガーゼIによる検知とライゲーションが行われる。リガーゼIの作用は、LP-BER経路の他の酵素、特にAPエンドヌクレアーゼとDNAポリメラーゼによって促進される。
※この「損傷塩基修復における役割」の解説は、「LIG1」の解説の一部です。
「損傷塩基修復における役割」を含む「LIG1」の記事については、「LIG1」の概要を参照ください。
- 損傷塩基修復における役割のページへのリンク