換価代金等の配当
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/14 12:57 UTC 版)
税務署長は、差押・交付要求等により得た金銭を、一定の順位・方法に従い差押にかかる国税その他の債権に配当しなければならない。配当により残余金が生じた場合は、滞納者に交付される(徴収法第128条・第129条)。この配当により、滞納処分は完結する。 差押財産の処分により得た金銭は、下記の債権に配当される。 差押にかかる国税および滞納処分費 交付要求を受けた国税、地方税および公課 差押財産にかかる債権(質権、抵当権等にかかるもの) 差し押さえた金銭、交付要求等により交付を受けた金銭は、それぞれ差押にかかる国税、交付要求にかかる国税に配当される。 税務署長は配当に当たり、債権額を確認しなければならない。確認は、売却決定の前日までに債権者に対し、債権の元本・利子・弁済期(納期限)等を記載した債権現在高申立書を提出させて行うほか、登記の確認等の調査により行う(徴収法第130条)。 税務署長は第129条の規定により配当を行う場合は配当計算書を作成し、買受財産の納付の日から3日以内に、配当を受ける者に対してその謄本発送しなければならず(徴収法第131条)、その謄本には発送から原則として7日を経過した日を交付期日として記載し、配当を受ける者に告知しなければならない(徴収法第132条)。換価代金は、この交付期日に配当計算書に従い交付される(徴収法第133条)。 配当しようとする換価金額が国税その他の債権の総額に満たない場合は、徴収法第2章などに規定する優先劣後の関係に従って、配当すべき順位および金額を定めて配当される(徴収法第129条第5項)。配当に当たっては、原則として租税(国税および地方税)、公課、私債権の順序となる。一方で、私債権の担保権設定時期が税の法定納期限等より早いときなど、私債権が租税に優先される場合もある。なお、国税と地方税に優先劣後の関係はない。 配当手続きに当たっては、 租税は、公課に優先 公課は、質権・抵当権等により担保される私債権に優先 質権・抵当権等により担保される私債権は、租税に優先 という、三つ巴の様相を呈することもしばしばあり、この場合は徴収法第26条各号に規定する方法により調整が行われる。 租税・私債権に対し常に優先する、強制換価手続きの費用・滞納処分費 債権を租税グループと私債権グループとに分け、次の方法により、配当金額の総額を定める租税の法定納期限等の日・私債権の権利の設定時期を古い順に並べる この順序に従い、上記1の手続き費用を控除した額を配当していき、仮の配当額を定める 債権を租税グループと私債権グループとに分け、上記で仮配当された額の和をそれぞれ求める。この額が、それぞれのグループに配当される額となる。 租税グループについて、差押先着順や交付要求先着順等に従い配当順序を定め、順次グループに配当された額が無くなるまで充てる。 私債権グループについては、民法等の規定に従い配当順序を定め、順次グループに配当された額が無くなるまで充てる。
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