提出が不要となる場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/22 09:12 UTC 版)
「有価証券届出書」の記事における「提出が不要となる場合」の解説
以下のいずれかに該当する場合、届出書の提出は不要である。 発行価額の総額が1億円未満の場合 非開示会社の有価証券にかかる売出しであって、その総額が1億円未満の場合 開示会社の売出し 適格機関投資家や特定投資家等向けに募集又は売出しを行う場合 自己株式にかかるストック・オプションを自社の役職員に付与する場合 その他 「発行価額の総額が1億円未満の場合」及び「非開示会社の有価証券にかかる売出しであって、その総額が1億円未満の場合」の特例 発行会社が1億円以上の募集及び売出しを実施する場合は、前述の通り有価証券届出書の提出が義務となる。一方で、「発行価額の総額が1億円未満の場合」及び「非開示会社の有価証券にかかる売出しであって、その総額が1億円未満の場合」については、届出書の提出は不要とされている。金融商品取引法において有価証券届出書の提出及び「公衆の縦覧に供すること」を義務としていることの目的が、投資家保護を目的としているものであり、このような少額の募集や売出しにまで、このような義務を課すことは過剰なものと考えられているため、このような特例が認められる。さらに、仮にこのような義務を課した場合、有価証券届出書の作成や提出のために発行会社が負う経済的負担や事務負担が、資金調達で得られる額と比較して過度な物となることも、この特例が設けられている理由である。 「開示会社の売出し」に関する特例 原則として発行会社が1億円以上の募集及び売出しを実施する場合は、前述の通り有価証券届出書の提出が義務となる。しかし、開示会社が既に発行している有価証券の売付けの申込み又はその買付けの申込みの勧誘を行う場合については、その売出しの規模が1億円以上であったとしても、金融商品取引法第4条第1項第3号により、有価証券届出書の提出は不要となっている。 「適格機関投資家や特定投資家等向けに募集又は売出しを行う場合」の特例 適格機関投資家や特定投資家は投資に関する専門知識を有する投資家である。そのため、あえて一般投資家等への募集又は売出しの際と同様の開示を行う必要がないことから、適格機関投資家や特定投資家等向けに募集又は売出しを行う場合は有価証券届出書の提出は不要である。ただし、有価証券届出書の提出と開示無くして発行された有価証券が一般投資家の手に渡ってしまうと、規制の潜脱行為にもなってしまいかねないため、このような有価証券を一般投資家に転売される事が無いようにすることが求められる。 自己株式にかかるストック・オプションを自社の役職員に付与する場合 金融商品取引法第4条第1項第1号、金融商品取引法施行令第2条の12及び企業内容等の開示に関する内閣府令第2条によれば、自社の役職員へのストック・オプションの取得勧誘または売付け勧誘等を行う場合は、有価証券届出書の提出が不要である。これは、勧誘対象となる者が自社の役職員等である以上、その有価証券に関する情報をすでに取得している若しくは容易に取得することができることから、あえて開示書類を作成し公表する必要が乏しいと考えられるという考えに依っている。
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