推理小説での「密室殺人」の誕生
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「密室殺人」の記事における「推理小説での「密室殺人」の誕生」の解説
推理小説の嚆矢たる密室小説『モルグ街の殺人』(1841)から半世紀が過ぎると、今に名を残す作品が現れ始める。アーサー・コナン・ドイルのシャーロック・ホームズ物の一編『まだらの紐』(1892)、最初の長編密室物といわれるイズレイル・ザングウィルの『ビッグ・ボウの殺人』(1891)である。ザングウィルの作品は、解決が抜け穴ではない最も初期の例である。捜査技術が発展し、不可能犯罪は現実では困難になっていったが、小説の世界では1890年代になってやっと展開が始まったわけである。 1890年代から1920年代の「シャーロック・ホームズとそのライバルたち」の時代を代表する密室は、ガストン・ルルーの長編『黄色い部屋の秘密』であろう。短編では、G・K・チェスタトンのブラウン神父ものに『秘密の庭』『狂った形』『見えない男』『ムーン・クレサントの奇跡』『翼ある剣』他、オースティン・フリーマンの『アルミニウムの短剣』、メルヴィル・デイヴィスン・ポーストの『ズームドルフ事件』などがある。 19世紀にはバルザック『赤い宿屋』、フィッツ=ジェイムズ・オブライエン『金剛石のレンズ』、やや後にはサキ『牝オオカミ』など、作者が推理小説やそのパロディを企図していない密室小説が存在する。
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