捜査対象の変更
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/15 11:42 UTC 版)
製造元でエキセドリンに毒物が混入された可能性は否定された。捜査官たちは製品の最終消費者に捜査の焦点を集めるようになった。FBIは出荷後の製品への毒物混入の可能性を調べ始めた。当時、エキセドリンはプラスチック製の瓶に入れられており、瓶の口は金属の箔で封じられ、蓋はプラスチックの包装で保護されていた。毒物が混入された瓶は封が不完全で、パッケージは糊付けし直されていた。 スノーの夫とステラの2人はポリグラフ検査を受けるように求められた。スノーの夫は応じたが、ステラは拒否した。ステラの代理の弁護士は記者たちに、ステラはあまりに動揺しているためポリグラフ検査を受けられないと説明した。捜査官たちは、ステラが2本の毒入りのエキセドリンの瓶は別の時期に別の場所で購入したと主張したことを突き止め、ステラを疑うようになった。郡全体で毒物が混入された瓶が合計5本発見された。ステラが5本のうちの2本を全くの偶然に入手したのは不自然であると見なされた。 刑事たちはステラが犯人であることを示すさらなる状況証拠を発見した。ステラは夫に対して生命保険をかけていた。その額は約7万6千ドルと巨額だった。事故死した場合はさらに10万ドルが支払われることになっていた。また、スノーが死亡する前でさえ、ステラは医師たちがブルースは自然死したと判断したことに度々反論していた。FBIがさらに捜査を進めたところ、少なくとも2つの保険証書でのブルースの署名は偽造されたものであると判明した。捜査官たちは、ステラは地元の店でアルジサイドを購入していたことも突き止めた。カプセルにシアン化物と一緒に混入していたものと同じ銘柄だった。シアン化物とアルジサイドを同じ容器を用いて粉末にしたと推測された。容器を洗わずに使い回したようである。 1986年11月、ついにステラはポリグラフ検査を受けることを承諾した。ステラは検査をパスしなかった。捜査官たちはステラに対する疑いをいっそう強めた。しかし、ステラがシアン化物を購入または使用したということを示す確固たる証拠は無かった。捜査官たちは、保険金殺人を隠蔽するため、もしくは、夫の死を事故によるものと見せかけてより多額の保険金を得るために、ステラが市販薬に毒物を混入したと、比較的に確信していたが、逮捕に至るまでの根拠を用意できなかった。
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