手続法上の位置付け
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/22 02:14 UTC 版)
民事執行法(昭和54年法律第4号)が制定される前は、民事訴訟法(明治23年法律第29号)734条に「債務ノ性質ガ強制履行ヲ許ス場合ニ」間接強制を認める旨の規定が存在していたが、ここにいう「強制履行」という語が民法414条1項にいう「強制履行」と内容が同じものであるか否かにつき見解が分かれた。 この点については、間接強制に劣後的地位しか与えない見解が通説化したことに伴い、民法414条1項の「強制履行」とは強制執行の方法のうちの直接強制の意味であるのに対し、民事訴訟法734条の「強制履行」は間接強制の意味であり、同条の解釈としては、不代替作為義務や不作為義務であってかつ強制に適する場合という趣旨と捉えた。このような解釈に対しては間接強制の劣後的地位を認めない見解から批判もされていたが、民事執行法の制定の際には、劣後的地位しか認めない見解を採用し、不代替的作為義務や不作為義務の場合に間接強制ができる旨の規定を置いた(同法172条)。 しかし、民事執行法が制定される前から存在する間接強制の劣後的地位に関する有力な批判や、代替的作為義務についても間接強制の方法を採るのが効果的な場合もあるとの指摘等から、間接強制の範囲について見直しがされるようになった。その結果、「担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律」(平成15年法律第134号)による民事執行法改正により、物の引渡を内容とする債務や代替的作為義務の場合であっても、債権者の選択により間接強制の方法による強制執行ができることとされた(改正後の民事執行法173条)。また、金銭債務については直接強制の方法によるのが原則であることは維持されたが、扶養義務等にかかる金銭債務については、「民事関係手続の改善のための民事訴訟法等の一部を改正する法律」(平成16年法律第152号)による民事執行法改正により、例外的に間接強制の方法によることが認められるに至った(民事執行法167条の15)。
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