懐中選挙区(ポケット・バラ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/01 03:47 UTC 版)
「腐敗選挙区」の記事における「懐中選挙区(ポケット・バラ)」の解説
腐敗選挙区と同様に、民主的とはいえない選挙区を指す用語として、懐中選挙区 (pocket borough) がある。これは、小さな選挙区においてひとりの有力な大地主が、あたかも自分のポケットの中にあるように、その選挙区を自在に支配している状態を意味している。 一部の選挙区は、腐敗選挙区ではないものの、自治邑土地保有態様(burgage)によって土地を保有している、ひとり、ないし複数の有力地主の意向によって選挙結果が決まった。投票者である借地借家人は、(秘密投票ではない)公開の投票で敢えて地主に背くようなことはしなかったからである。秘密投票が導入されていなかった19世紀半ばまでは、こうした有力者の影響力行使が横行していたのである。中には、ひとりの金持ちが、いくつもの選挙区に影響力を行使することもあり、ニューカッスル公爵は、7選挙区を「ポケットに入れている」と言われていた。懐中選挙区から選出される議員は、地主自身であることもよくあり、独占選挙区(proprietarial boroughs)と呼ばれることもあった。 19世紀の有力地主たちは、懐中選挙区は、庶民院において地主層の利害を反映させる有力な手段であると考えていた。 懐中選挙区は、1867年に新たな改革法(英語版)によってようやく廃止された。この改革法は、バラの領域を拡大し、個々の選挙区有権者数が概ね同水準になるようにするという原則を打ち立てた。その後、一連の法整備により、選挙区画定審議会(Boundary Commission)が制度化され、その後の人口移動に合わせてこの原則による見直しが行われるようになった。
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