悪心・嘔吐を起こす疾患
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 14:48 UTC 版)
悪心、嘔吐は延髄にある嘔吐中枢によって制御されている。消化器、心臓、前庭、脳実質の障害によって嘔吐は誘発される。中枢神経系の障害による嘔吐は悪心を伴わないのが一つの特徴である。消化器の異常が最も多いがそれ以外の疾患も数多い。特に急性冠症候群が悪心、嘔吐のみしか認められないことがあり注意が必要である。診断学上は下痢といった下部消化器症状の有無が重要である。下部消化器症状が認められる場合は中毒(特に薬物ではジゴキシンやテオフィリンが有名)によるもの以外は消化器疾患である可能性が高い。特に見逃すと重篤な疾患としては脳内病変としては脳出血や髄膜炎があげられる。無痛性心筋梗塞は糖尿病患者や高齢者で多いとされている。糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)、アルコール性ケトアシドーシス(AKA)、腎盂腎炎、妊娠、敗血症、絞扼性イレウス、急性胆嚢炎、急性膵炎などが重要である。これらの疾患は下痢といった下部消化器症状を伴わないことが多い。 悪心、嘔吐を起こす疾患としては具体的には以下のような疾患が考えられる。 分類疾患閉塞性消化器疾患 イレウス、幽門狭窄、便秘 非閉塞性消化器疾患 急性胃炎、急性胃腸炎、急性膵炎、消化管穿孔、急性胆嚢炎 感染症 敗血症など 眼科疾患 緑内障など 耳鼻咽喉疾患 良性発作性頭位めまい症、乗り物酔いなど 心血管疾患 急性冠症候群、急性大動脈解離など 神経疾患 脳血管障害、髄膜炎、頭蓋内圧亢進症など 代謝内分泌疾患 尿毒症、糖尿病性ケトアシドーシス、アルコール性ケトアシドーシス 泌尿器疾患 腎炎 産科疾患 妊娠性悪阻 薬物 ジゴキシン、テオフィリン、カルバマゼピン 中毒 きのこ中毒 アレルギー疾患 消化管アレルギーやアナフィラキシー 精神疾患 拒食症、過食症など
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