後遺症とその課題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/20 17:55 UTC 版)
移植の前処置で致死量を超える大量の抗ガン剤投与と放射線照射を行う為、後遺症として、小児の場合は成長障害、また男女とも極めて高い確率で永久的な不妊となることが知られている。かつては「不治の病」とされた血液難病の患者も造血幹細胞移植により治癒するケースが多くなった現在では、ただ生命を救うだけでなく、その後のQOLも重視すべきだと考えられるようになっている。不妊の問題に関しては、男性患者の場合は移植前に精子採取・凍結保存が可能である。また女性患者の場合、前処置の放射線照射の際卵巣を遮蔽する方法や、従来困難とされてきた未受精卵凍結保存も近年可能となった(ただし、移植治療を受けた女性患者が回復後に凍結未受精卵により妊娠・出産する可能性は不明)。患者の生きる希望を繋ぐためにも何らかの形で生殖能力を残すことの重要性が訴えられている。しかし、現実にはその猶予もなく治療を優先せざるを得ないケースも多い。 また、移植後に発症するGVHD(移植片対宿主病)も、生命およびQOLに影響する。GVHDに対する治療は必ずしも有効でなく、障害として持続もしくは増悪するケースもみられる。少なからず、痛みや就業などの深刻な問題となる場合がある。その他にも、骨髄移植の結果、ドナーが持っていたアレルギーをレシピエントが移植後に発症する場合もあることも確認された。
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