弱点である魔法剣
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/30 14:42 UTC 版)
「アーサーの甥、ガウェインの成長記」の記事における「弱点である魔法剣」の解説
物語中では、陣羽織の騎士(ガウェイン)が「海賊王」を倒すために役立つ魔法剣(「呪い」の王剣と鎧)を、王妃からを授かるが、このようなモチーフは、流布本サイクル系の散文『ランスロ』(ランスロ本伝)における「悲しみの砦(Doloreuse garde)」のカラドス(Carados, Caradoc)のエピソードにも見出せる。そちらでは、ヒーローの役柄がランスロ(ランスロット卿)に置換わっているが、折れた剣の代わりに、カラドスに囚われている淑女が指し示す剣を手にし、砦を守るボスキャラ的存在であるカラドスを倒す。この剣以外では、カラドスを殺す効き目はなかった。 じつはモデナ大聖堂にあるレリーフ彫刻(英語版)も、上とまったく同様のエピソードが描写されているとされている。しかも、彫刻に登場するかぎり、カラド(Carado)と対決するのは、ガルウァギヌス卿(Galvaginus)という名の、いかにもガウェイン卿らしかる人物である(ランスロではない)。いささか強引な考察ではあるが、彫刻の原話を復元したルーミスによれば、このガルウァギヌスの剣が折れ、やはり淑女に唯一効き目のある剣を授かり、カラドを倒すのだという。 アイルランドのアルスター伝説で類例を挙げるならば、『クーロイの最期』でも、やはりクーロイに囚われた女性が、勇者クーフーリンに、巨人を倒す決め手となる剣を渡している。ちなみに、ケルト文学における小人の観点から、このモチーフ比較に注視した研究者(Harward)は、「海賊王」が、その島国の住民と同様に「小人」だったと解釈しており、その点、巨人であったクーロイと対照的だとしている。
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