引用発明
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 09:09 UTC 版)
発明が特許されるためには、新規性(特許法第29条第1項)と進歩性(同条2項)を備えていなければならない。 つまり、次のような発明は、新規性を喪失し、特許されない: 日本国内又は外国において公然知られた発明 日本国内又は外国において公然実施をされた発明 日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明 日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明 また、新規性のない発明から当業者が容易に発明できるものは、進歩性がないとされる。 特許審査の際、審査官は先行技術などの調査を行い、新規性や進歩性を否定する文献などが無いかを調べる。そのような文献などは、引例・引用例として、拒絶理由の通知にも付される。 ここで、進歩性を否定する引例・引用例となる発明(引用発明)は、完成した発明でなくてはならない。1986年1月9日に膵液アルファアミラーゼを特異的に定量する方法と試薬の発明が出願されたが、三年前の1983年に公開された「アイソザイム分別定量法」という発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとして拒絶査定を受けた膵液αアミラーゼ事件において、1998年に東京高等裁判所は、次のように述べて、拒絶査定に対して請求された拒絶査定不服審判の請求棄却審決を取り消した: 引用例に記載された発明は完成されたものとは認め難く、かえって未完成であると推認されるから、審決が本願第一発明と引用例に記載された発明とを対比してした両者の一致点の認定〔…〕は誤りであり、したがって、本願第一発明は引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとの審決の判断も誤りである。 — 膵液αアミラーゼ事件東京高等裁判所判決(中略は引用者による)
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