弁済の主体と第三者弁済
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/31 17:55 UTC 版)
通常は債務者が弁済に当たるが、債務の弁済は、第三者もすることができる(474条1項)。これを第三者弁済という。 第三者弁済には以下の制約がある。 弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者の場合 弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは、この限りでない(474条2項)。2017年の改正前の民法473条2項に当たるが、2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは弁済を有効とするただし書が追加され、債務者の意思に反するかどうか把握できない債権者の利益を保護している。 弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債権者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、その第三者が債務者の委託を受けて弁済をする場合において、そのことを債権者が知っていたときは、この限りでない(474条3項)。2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で追加された規定で、債権者はその弁済が債務者の意思に反するかどうかを知り得ない場合があるため、債権者は原則として「弁済をするについて正当な利益を有する者でない」ことを理由に弁済を拒絶できるとし債権者を保護している。 その債務の性質が第三者の弁済を許さないとき、又は当事者が第三者の弁済を禁止し、若しくは制限する旨の意思表示をした場合 その債務の性質が第三者の弁済を許さないとき、又は当事者が第三者の弁済を禁止し、若しくは制限する旨の意思表示をしたときは、第三者弁済はできない(474条4項)。 2017年の改正前の民法の473条1項ただし書に当たる。第三者による弁済の禁止について当事者の意思を尊重する趣旨で、実務では債権管理が煩雑になるのを避ける目的で第三者による弁済を禁止した契約がみられる。
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