広域ペニシリン(緑膿菌用を含む)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 06:05 UTC 版)
「ペニシリン」の記事における「広域ペニシリン(緑膿菌用を含む)」の解説
抗菌スペクトルを拡大してグラム陰性菌にも有効になったもの。初期に開発されたアンピシリンなどは、グラム陰性菌の中でも特に薬剤への自然抵抗性が強い緑膿菌には無効であったが、後に緑膿菌にも有効なカルベニシリンが開発された。基本的には合成ペニシリンでありアミノ基をもつ。点滴薬のアンピシリン(商品名:注射用ビクシリンなど)、経口薬のアモキシリン(商品名:サワシリンなど)がある。2007年現在は殆どペニシリンと変わらないと考えてよい(当初はグラム陰性に効くのポイントだった)。感受性のある腸球菌感染症にはアミノペニシリンはよい選択である。リステリア感染症の第一選択薬はアミノペニシリンである。特にリステリア(特にリステリア髄膜炎では大量静注する)、腸球菌にはセフェム系が効かないことが多いので重宝する。 緑膿菌にも効果がある広域ペニシリンをウレイドペニシリンともいい、広域でやや活性の劣るペニシリンの仲間とされている。構造からはアミノアシルペニシリンともいう。ピペラシリン(商品名:ペントシリン、β-ラクタマーゼ阻害剤を含んだものとしてはタゾシン、ゾシン)、カルベニシリンが有名である。特にピペラシリンは緑膿菌を疑ったときに重宝する。緑膿菌感染症は糖尿病など免疫抑制下、長期入院の患者が対象となる。そして緑膿菌はピペラシリンに対してトレランスをもっている、即ちMIC(minimum ihnibitory concentration: 最小発育阻止濃度)とMBC(minimum bactericidal concentration: 最小殺菌濃度)に差がある。よって大量静注が必要である。またアミノグリコシドを用いるとシナジーがある。アミノグリコシドを用いてからピペラシリンを用いた方が効果が高いと言われている。
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