差動ピッチ制御
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/23 00:42 UTC 版)
「ヘリコプターの操縦装置」の記事における「差動ピッチ制御」の解説
2つの水平ローターを装備しているヘリコプターにおいては、パイロットの操縦操作に応じて姿勢を変化させるために、それぞれのローターを反対に作動させなければならない場合がある。二重反転式ローター(カモフKa-50など)のように2つのローターが1つのマストに搭載されている場合、同軸ドライブ・シャフト上に上下に配置されたローターが反対方向に回転しているため、ヨー方向の操縦は、旋回しようとしている方向に回転しているローターと反対方向に回転しているローターのコレクティブ・ピッチを同時に増減し、トルクの不均衡を生じさせることによって行われる。 タンデム・ローター(ボーイングCH-47チヌークなど)においては、反対方向に回転する2つのローターが同じ機体の別な場所に搭載され、機首部および尾部にあるマスト内に配置された別個のドライブ・シャフトで駆動されている。この形態においては、コレクティブ・ピッチの差動により、機体全体のピッチ姿勢を変化させる。パイロットがサイクリックを前方に動かして、ノーズを下げ前方に加速させようとした場合には、前方ローターのコレクティブ・ピッチを減少し、後方ローターのコレクティブ・ピッチを反対に増加させることにより、重心周りの回転が生み出される。ヨー方向の操縦は、「サイクリック」ピッチの差動によって行われる。前方ローターのサイクリック・ピッチが所望の方向に傾けられ、後方ローターが反対に傾けられると、機体はその中心を軸に旋回する。 反対に、交差反転式ローターやサイド・バイ・サイド・ローター(ベル・ボーイングV-22オスプレイなど)においては、2つの大きな水平ローターが横に並んで配置されており、コレクティブ・ピッチの差動により機体をロールさせる。ヨー軸の制御は、タンデム・ローターと同様に、サイクリック・ピッチの差動により行われる。
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