川路大警視訓示
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川路利良大警視(警視総監)は『撃剣再興論』を著し、1879年(明治12年)、巡査教習所(現警視庁警察学校)において次のように訓示した。 武術について私の所見を述べて置く。諸君は学問だけでなく、武術の方でも選抜された人々である。武術を知らぬ警察官ほど物足りないものはあるまい。何となれば、有事の際に一人前以上の腕力があって凶徒を制圧し得てこそ国民信頼の警察官である。その力の足りない人は何をおいても武術を錬ることが肝心じや、私も若い時から武術をやっているが、警察武術というものを打建てねばならぬと考えている。警察官は兇賊を相手としてもそれを傷つけることなく取押えることが上乗である。兇賊の暴力を巧みに避けて倒す、縛るという武術が必要と思う。逆手もまた正手とせねばならぬ。故に武術の練習にしても常にそうした心を心として修練せねばならんのである。ほんとうをいえば、一人で剣術も柔術も心得て居らねば実際の役に立たんのである。昔の武士は剣術に優れて居るだけでなく、柔術も相当に心得て居た。私は若い頃素面素小手の稽古を受けたこともある。又、後進にその稽古をつけたこともあるが、実に真剣な態度の練習であった。だからその技倆が実戦に役立って来たのである。諸君の中で目録以上の人は、素面素小手で後進に教えてやって貰いたい。ガチャンガチャンのなれ合いげい古だけでは見せものの約束剣術になる。兇賊と戦うのには面とか胴とかに捉われた約束はない。諸君『剣術使いになるな』『やわらとりになるな』と私は力説しておく。その内に私も道場に出て諸君とたたかって見よう、今日はこれまで
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