小児白血病の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 02:02 UTC 版)
小児の急性リンパ性白血病は60-80%が治癒し、小児白血病全体では成人の白血病より予後が良いとされているが、1歳未満の乳児と10歳以上の年長児ではあまり予後は良くない。白血病の原因となっている遺伝子変異の種類は多いが、年齢によってよく見られる遺伝子変異の種類は異なり、2-9歳の小児では予後の良いタイプの遺伝子変異が多く、1歳未満の乳児を除くと年齢が低いほど予後が良いタイプの白血病の割合が多くなる傾向にある。ただし、小児白血病は予後が良いものが多いといっても重篤な疾患であることにかわりはない。小児の急性リンパ性白血病の染色体・遺伝子異常では高2倍体(染色体が50本以上に増加したもの)が20-25%、TEL-AML1融合遺伝子が15-20%に見られ、この2つの染色体・遺伝子異常による白血病は予後が良い。逆に予後の悪い染色体・遺伝子異常(BCR-ABL融合遺伝子(フィラデルフィア染色体Ph+)、あるいは MLL-AF4融合遺伝子)は5%であり、中間群は5割弱である。小児の急性骨髄性白血病では大半は予後中間群であり40-60%が長期生存・治癒している。人数的に小児白血病の大半を占める2-4歳児の白血病には予後の良いタイプの ALL(高2倍体あるいはTEL-AML1融合遺伝子)が多いが、全体の中では少数である年長児の白血病では予後の良いタイプの ALL の割合は少なくなり、10歳以上の白血病はハイリスク白血病と見なされる(ただし成人の ALL より悪いということではない)。しかし、なかには、2-4歳児の白血病でも予後不良なタイプの白血病もあるので予後不良因子の見極めは重要である。1歳未満の乳児の白血病は小児白血病の5-10%であり、MLL-AF4融合遺伝子のある ALL が約半数に見られ、MLL-AF4融合遺伝子のあるALLは極めて性質が悪く移植医療が強く推奨されている。
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