射影ユニタリ表現を用いた解決
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/10 05:04 UTC 版)
「スピン角運動量」の記事における「射影ユニタリ表現を用いた解決」の解説
一つ目の解決方法は Vs を直接考えるのではなく、Vs の元を位相の相違を無視する同値関係:p368 ϕ ∼ ψ {\displaystyle \phi \sim \psi } ⟺ d e f ∃ α ∈ [ 0 , 2 π ] : ϕ = e i α ψ {\displaystyle {\overset {def}{\iff }}\exists \alpha \in [0,2\pi ]~:~\phi =\mathrm {e} ^{i\alpha }\psi } で割った空間 V s / ∼ {\displaystyle V_{s}/\sim } を考え、同様にユニタリ演算子に対しても同様の同値関係 U ∼ U ′ {\displaystyle U\sim U'} ⟺ d e f ∃ α ∈ [ 0 , 2 π ] : U = e i α U ′ {\displaystyle {\overset {def}{\iff }}\exists \alpha \in [0,2\pi ]~:~U=\mathrm {e} ^{i\alpha }U'} により同一視した同値類 [U] を考えるというものである:p369。このユニタリ演算子の同値類全体の集合を P U ( V s ) = U ( V s ) / ∼ {\displaystyle \mathrm {PU} (V_{s})=\mathrm {U} (V_{s})/\sim } と表記する。PU(Vs) を Vs 上の射影ユニタリ群、PU(Vs) に属する同値類を Vs 上の射影ユニタリ演算子と呼ぶ。 射影ユニタリ演算子 [U] は Vs / ∼ 上の写像となる事が知られている: [ U ] : V s / ∼ → V s / ∼ {\displaystyle [U]~:~V_{s}/\sim ~\to ~V_{s}/\sim } そこでスピン演算子の振る舞いを記述するため、SO(3) のユニタリ表現の代わりに SO(3) の射影ユニタリ表現 R ∈ S O 3 ↦ λ ′ ( R ) ∈ P U ( V s ) {\displaystyle R\in \mathrm {SO} _{3}\mapsto \lambda '(R)\in \mathrm {PU} (V_{s})} を用いる。 通常のユニタリ表現と違い、射影ユニタリ表現は次を満たす事が知られている:p383-384 定理2 ― s が整数であっても半整数であっても、SO(3) の Vs 上の既約な射影ユニタリ表現が(同型を除いて一意に)存在する。 よってユニタリ表現の代わりに射影ユニタリ表現を利用する事でスピン角運動量演算子が定義可能である。 本稿では、射影ユニタリ表現を利用したスピン角運動量演算子の定義の詳細は述べない。これは射影ユニタリ表現を使ってスピン演算子を記述している物理の教科書は少ない為である。しかしすでに述べたように、射影ユニタリ表現による解決方法は後述するもう一つの解決方法と本質的に同値なので、もう一つの解決方法を利用したスピン角運動量演算子の定義から射影ユニタリ表現を利用したスピン角運動量演算子の定義を導くことができる。 射影ユニタリ表現による解決方法は、物理的に意味を持たないフェーズで同一視した事を除けば、他のオブザーバブルと類似した形式でスピン角運動量演算子を記述できるため、後述するもう一つの解決と比べ、その物理的意味がわかりやすい事が利点である。
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