寺園敦史との論争
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2002年3月、宝島社から『同和利権の真相』シリーズが刊行されはじめた。角岡はこれに猛反発し、同シリーズに「日共=『全解連』の別動隊機関紙」とレッテルを貼って罵倒した。なお「日共=『全解連』」とは部落解放同盟の多用する表現である。 これに対し、同シリーズの著者のひとりである寺園敦史は「批判されるべきは、悪事をはたらいた本人か、それとも悪事を調べ上げ書き立てたわたしたちなのか、考えるまでもないはずだ」、「わたしたちへの批判をやめてくれとは言わないが、部落問題の解決を願うのであれば、せめてその数倍ものエネルギーを解放同盟批判、不正の是正に費やすべきだと思う」と述べ、以下のように反論した。 「解放同盟や全日本同和会のメンバーの中には、自らの立場と同和対策事業を利用して巨利を得た者もいる。『真相』の中でも指摘されているように事業にからみ、不正をはたらく者もいた」「深層」でわたしがもっとも引っかかりをおぼえたのは、このくだりだった。何の注釈も論証もなくこう書いているくらいだから、角岡氏にとってこれは自明のことなのだろう。だが、事業を利用して巨利が得た者もいるというとんでもない事実を知りながら、角岡氏はそのことを指摘・批判してきたのだろうか。失礼ながらわたしは、角岡氏の著作をあまり読んだことがないので見当外れの指摘なのかもしれないが、「巨利を得た者」を前にして、是正のためにどのような問題提起をしてきたのだろうか。皮肉でも何でもないが、そのスタンスはともかくとして〈同和利権の真相〉シリーズでわたしたちがやってきたことは、むしろ、角岡氏のように解放同盟と協力関係にあり、また行政の啓発事業でもしばしば講師をつとめる立場の人たちが率先してやるべきことだったと、わたしは考えている。行政や運動に与える効果は格段に高いであろう。 このように、寺園もまた、角岡を「解放同盟と協力関係にあ」る者と位置付けている。のち、2011年には角岡自身も「ぼくは解放同盟員ではありませんが、解放同盟に近い立場と思っています」と自認するに至った。
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