寒川神社の算額
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/04 04:26 UTC 版)
円や多角形、球や多面体が接する図形についての解析は、和算家の最も得意とする分野のひとつであり、西洋とは独立に、しばしば先に発見を成し遂げている。6球連鎖に関する算額は、文政5年(1822年)に、内田五観門下の入澤新太郎博篤によって相模国の寒川神社に奉納された。この算額は現存しないが、内田の算額集『古今算鑑』(天保3年(1832年))に収録されており、それを元に復元された算額が寒川神社方徳資料館に保管されている。 入澤の算額は3題から成り、そのひとつが6球連鎖に関するもので「外球の直径が30寸、核球の直径がそれぞれ10寸と6寸、連鎖球のひとつの直径が5寸であるとき、残りの球の直径を問う」というものであった。答は順に15寸、10寸、3寸7分5厘、2寸5分、2寸と11分の8寸となる。 解答では、球の直径を計算する方法が記されており、現代的な記法では以下のような公式が与えられていると見なせる。外球の直径を、核球、連鎖球の直径で割った比率をそれぞれa1, a2, c1, …, c6とする。c2, …, c6をa1, a2, c1で表したい。 K = 3 ( a 1 a 2 + a 2 c 1 + c 1 a 1 − ( a 1 + a 2 + c 1 + 1 2 ) 2 ) {\displaystyle K={\sqrt {3\left(a_{1}a_{2}+a_{2}c_{1}+c_{1}a_{1}-\left({\frac {a_{1}+a_{2}+c_{1}+1}{2}}\right)^{2}\right)}}} とおくと、 c 2 = ( a 1 + a 2 + c 1 − 1 ) / 2 − K c 3 = ( 3 a 1 + 3 a 2 − c 1 − 3 ) / 2 − K c 4 = 2 a 1 + 2 a 2 − c 1 − 2 c 5 = ( 3 a 1 + 3 a 2 − c 1 − 3 ) / 2 + K c 6 = ( a 1 + a 2 + c 1 − 1 ) / 2 + K {\displaystyle {\begin{aligned}c_{2}&=(a_{1}+a_{2}+c_{1}-1)/2-K\\c_{3}&=(3a_{1}+3a_{2}-c_{1}-3)/2-K\\c_{4}&=2a_{1}+2a_{2}-c_{1}-2\\c_{5}&=(3a_{1}+3a_{2}-c_{1}-3)/2+K\\c_{6}&=(a_{1}+a_{2}+c_{1}-1)/2+K\end{aligned}}} が成り立つ。これより、c1+c4=c2+c5=c3+c6であるから、再び冒頭の関係式を得る。
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