寄生と共生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/01 16:56 UTC 版)
寄生は生物間相互作用の一様態であり、共生すなわち「複数種の生物が相互作用を及ぼしつつ同所的に生活する」ことに含まれる。寄生を十分に定義するのは難しい(後述)が、ひとまずは以下の定義が挙げられる。 寄生といわれるのは、生物Aと生物Bがあって、以下のような関係がある場合である。 Aが、Bが得た、または当然得るはずの栄養摂取源を取得すること。 Aが、Bの体内か体表面、あるいはそれに近い位置にいること。 この関係が一定期間続くこと。 BはAの存在によってはっきりした不利益を被ること。 こういった関係にある場合、AがBに寄生しているといい、BをAの宿主(しゅくしゅ、やどぬし)または寄主(きしゅ)という。 たとえば、ヒトの腸内でヒトが摂食し、消化した食物を吸収して生活するカイチュウ、髪の毛や衣服に住んで、血液を吸収するシラミなどは、典型的な寄生者である。他方、カやアブは、ヒトの血を吸うが、すぐに離れていき、短時間しか接触を持たないので寄生者ではない。 しかし、判別の困難な例が多々ある。たとえば樹木の葉を食べる毛虫などの食葉性昆虫はこの定義に当てはまってしまうが、通常の植食者と見なされ、寄生者とは呼ばれない。しかし、植物の組織を変形させて虫こぶを形成し、その中に生息して内部組織を摂食する昆虫は寄生者と呼ばれる。 他の昆虫に寄生するハチやハエでは、宿主が成熟するときまでにその体を食い尽くして殺してしまうものが多い。これは捕食の変形と考えられ、捕食寄生という。 また、寄生とは明らかに異なるものも慣用的に寄生と呼ばれることがある。その例の一つが「卵塊への寄生」である。クモやバッタ、カマキリなどは卵塊や卵のうを作るが、ここに潜り込んで卵を食べて成長するものがあり(カマキリモドキ、マメハンミョウなど)、これらも寄生と言われる。しかし、起きていることは単なる卵の捕食である。
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