実数の直積集合における距離
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/09 02:06 UTC 版)
「距離空間」の記事における「実数の直積集合における距離」の解説
実数全体のなす集合 R に、距離 d を絶対値を用いて d2(x, y) = |x − y| と定めることで、 (R, d) は距離空間になる。 実数全体のなす集合 R の n 個の直積を Rn と書くとき、 (R, d) の距離関数 d の一般化として次のような 2つの距離関数を考える。 d 1 ( x , y ) := ∑ i = 1 n | x i − y i | {\displaystyle d_{1}(x,y):=\sum _{i=1}^{n}|x_{i}-y_{i}|} d 2 ( x , y ) := ∑ i = 1 n ( x i − y i ) 2 {\displaystyle d_{2}(x,y):={\sqrt {\sum _{i=1}^{n}(x_{i}-y_{i})^{2}}}} 距離d1 は マンハッタン距離 と呼ばれる。一方、距離d2 は n 次元ユークリッド距離とよばれ、距離空間(Rn, d2)は n 次元ユークリッド空間という。上述の絶対値の例は 1 次元ユークリッド距離になっていることが分かる。教育や自然科学における応用では、多くの場合ユークリッド距離がもちいられる。 また、これの一般化として k-乗平均距離 d k ( x , y ) := ( ∑ i = 1 n | x i − y i | k ) 1 / k {\textstyle d_{k}(x,y):=(\sum _{i=1}^{n}|x_{i}-y_{i}|^{k})^{1/k}} を考えたとき、その極限 d max ( x , y ) := lim k → ∞ d k ( x , y ) = max 1 ≤ i ≤ n | x i − y i | {\displaystyle d_{\text{max}}(x,y):=\lim _{k\to \infty }d_{k}(x,y)=\max _{1\leq i\leq n}|x_{i}-y_{i}|} はチェビシェフ距離と呼ばれる。 このように、同じ集合に対して定めることのできる距離は一つではない。一般には集合が同じであっても異なる距離関数を与えれば位相空間としても異なるが、ここで定義した d1, d2, dmaxに関しては dmax(x,y) ≤ d2(x,y) ≤ d1(x,y) ≤ n dmax(x,y) という関係があり、これら同値な距離はユークリッド空間上に同じ位相構造を定めている。言い換えると、この 3 つの距離はいずれも同じ開集合系を定めるのである。例えば、d1 に関する開集合は必ず d2 に関する開球の和集合に表され、逆に d2 に関する開集合は必ず d1 に関する開球の和集合に表される。dmaxによって定まる位相と d1,d2のそれぞれによって定まる位相との関係についても同じことが言える。
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