定理の意味と加法的な基
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 02:29 UTC 版)
「シュニレルマン密度」の記事における「定理の意味と加法的な基」の解説
シュニレルマンの定理は、和集合がどのように蓄積されるかについて、最初の見方を与えている。この結論は、一見、 σ {\displaystyle \sigma } が優加法性(superadditive)を持っていることが、不幸に見えるが、シュニレルマンは次のような結果を示し、彼の目指した目的へほぼ到達した。 定理. A {\displaystyle A} と B {\displaystyle B} を自然数 N {\displaystyle \mathbb {N} } の部分集合とする。 σ A + σ B ≥ 1 {\displaystyle \sigma A+\sigma B\geq 1} であれば、 A ⊕ B = N . {\displaystyle A\oplus B=\mathbb {N} .} となる。言い換えると、 σ A + σ B > 1 {\displaystyle \sigma A+\sigma B>1} かつ A が 0 を含んでいるならば A + B はすべての整数を含んでいる。 実際、 n ∉ A + B {\displaystyle n\notin A+B} ならば、 n および n − a i {\displaystyle n-a_{i}} の形の数は B に含まれないから、 B ( n ) ≤ n − 1 − A ( n − 1 ) ≤ n − A ( n ) {\displaystyle B(n)\leq n-1-A(n-1)\leq n-A(n)} となり、よって σ A + σ B ≤ ( A ( n ) + B ( n ) ) / n ≤ 1 {\displaystyle \sigma A+\sigma B\leq (A(n)+B(n))/n\leq 1} となる。 上記の二つの定理から、A が 0 を含んでおり、正のシュニレルマン密度を持つならば、ある自然数 n に対して σ ( n − 1 ) A > 1 / 2 {\displaystyle \sigma (n-1)A>1/2} となり、よって 2 ( n − 1 ) A {\displaystyle 2(n-1)A} はすべての整数を含んでいることがわかる。つまり 定理. (シュニレルマン) A ⊆ N {\displaystyle A\subseteq \mathbb {N} } とする。 σ A > 0 {\displaystyle \sigma A>0} であれば、 ⨁ i = 1 k A = N . {\displaystyle \bigoplus _{i=1}^{k}A=\mathbb {N} .} となるような k {\displaystyle k} が存在する。 有限和 A ⊕ A ⊕ ⋯ ⊕ A = N {\displaystyle A\oplus A\oplus \cdots \oplus A=\mathbb {N} } という性質を持つ部分集合 A ⊆ N {\displaystyle A\subseteq \mathbb {N} } を加法的な基(additive basis)といい、そのようにとることが可能な最小の和の数を基の次数(degree)という。このようにすると上記の定理は、任意の正のシュニレルマン密度を持つ集合は、加法的な基であるということになる。この用語を使うと、平方数の集合 G 2 = { k 2 } k = 1 ∞ {\displaystyle {\mathfrak {G}}^{2}=\{k^{2}\}_{k=1}^{\infty }} の加法的な基の次数は 4 であることになる。全ての平方数の集合を G 2 = { k 2 } k = 1 ∞ {\displaystyle {\mathfrak {G}}^{2}=\{k^{2}\}_{k=1}^{\infty }} とすると、ラグランジュの四平方定理は σ ( G 2 ⊕ G 2 ⊕ G 2 ⊕ G 2 ) = 1 {\displaystyle \sigma ({\mathfrak {G}}^{2}\oplus {\mathfrak {G}}^{2}\oplus {\mathfrak {G}}^{2}\oplus {\mathfrak {G}}^{2})=1} と書きなおすことができる。(ここに、記号 A ⊕ B {\displaystyle A\oplus B} は、 A ∪ { 0 } {\displaystyle A\cup \{0\}} と B ∪ { 0 } {\displaystyle B\cup \{0\}} との sumset とする。) σ G 2 = 0 {\displaystyle \sigma {\mathfrak {G}}^{2}=0} であることは明らかである。事実、依然として、 σ ( G 2 ⊕ G 2 ) = 0 {\displaystyle \sigma ({\mathfrak {G}}^{2}\oplus {\mathfrak {G}}^{2})=0} であり、どの点がシュニレルマン密度を 1 とし、どのように密度を増加させるのかを問うかもしれない。実際は、3つの和の場合は、 σ ( G 2 ⊕ G 2 ⊕ G 2 ) = 5 / 6 {\displaystyle \sigma ({\mathfrak {G}}^{2}\oplus {\mathfrak {G}}^{2}\oplus {\mathfrak {G}}^{2})=5/6} であり、 G 2 {\displaystyle {\mathfrak {G}}^{2}} の sumset を取ることをすると、より大きな集合、すなわち、全ての自然数の集合 N {\displaystyle \mathbb {N} } となる。シュニレルマンは、さらにこれらの考え方を進め、上記の定理とし、加法的整数論の研究を進め、(たとえ巨大な威力を発揮しなかったとしても)多くの貴重な結果を証明し、ウェアリングの問題やゴルドバッハの予想のような重要な問題を解明しようとした。
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