宗教と王権の改革
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/15 15:10 UTC 版)
ジェドカラーとウナスの治世は、古代エジプトの宗教や王権のあり方が変容する時期であった。明白な変化が最初に見られるのはウナスの治世時代においてである。第5王朝ファラオのホルス名(英語版)があらわれている封泥遺物を統計的に分析すると、ウナスの治世下でホルス名の使用が明らかに少なくなっていることが判る。テティの時代にもこの傾向は続いており、テティのホルス名が記された封泥は僅か2点しか発見されていない。これは行政官や神官の権力が増大していくにつれ、王権が弱体化していっていた当時の情勢を反映している。 一方でオシリス信仰が徐々に強まり、ファラオを描いたものにおいて王の代わりに死後の安寧を保障する神としてのオシリスが描かれるようになっていった。ドイツのエジプト史学者ハートヴィッヒ・アルテンミュラー(英語版)は当時のエジプト人の信仰について以下の様に述べる。 "the [...] afterlife no longer depends on the relationship between the individual mortal and the king, [...] instead it is linked to his ethical position in direct relation to Osiris". エジプトの神殿において太陽神ラーが最高神であるという立場自体は揺らがなかったが、ラーへの信仰を表すものは減少していった。ジェドカラーとウナスは第5王朝の他のファラオ達と異なり、太陽神神殿(英語版)をひとつも建設していない。加えて、第5王朝の王の名にはラーに関する語句を含めるというのが初代ファラオのウセルカフより1世紀ほども続いていた伝統であったが、メンカウホルとウナスの名にはそういった要素が何ら含まれていない。ウナスのピラミッド(英語版)で発見されたピラミッド・テキストは、当時のエジプトでオシリスとラーの2神が如何に重視されていたかを良く表している。両者は何れも死後の旅において重要な役割を果たす神で、ラーは生命の源であり、オシリスは来世に辿り着くための力を持つものと信じられていた。
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