宇野学派の形成
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マルクス経済学から社会主義イデオロギーを排除しようとする姿勢や、『資本論』の様々な難点を指摘して理論の再構築を目指す姿勢は、多くのマルクス主義者やマルクス経済学者から反発を受けた。価値論をめぐる久留間鮫造の批判(『価値形態論と交換過程論』)や経済学方法論をめぐる梅本克己の批判(『社会科学と弁証法』)が代表的なものである。その一方で勤務先の東京大学を中心に継承者も生まれ、宇野学派と呼ばれるグループが形成された。宇野学派の代表的な研究者として、岩田弘、大内秀明、大内力、大島清、桜井毅、鈴木鴻一郎、橋本寿朗、降旗節雄、山口重克らが挙げられる。宇野と継承者の共同作業による研究として『資本論研究』(筑摩書房)などがある。 宇野の「方法の模写」説では、原理論の対象は資本主義経済の純粋化傾向に即して設定される。しかしその考え方によっては原理論の対象を国民経済として外国貿易を捨象することはできない。この点を批判した宇野学派の一部(鈴木鴻一郎、岩田弘など)は世界資本主義論を唱え、原理論は世界資本主義の発展を内的に模写するべきだと主張した。
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