孤立林と島嶼生物学、景観生態学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/16 06:42 UTC 版)
「孤立林」の記事における「孤立林と島嶼生物学、景観生態学」の解説
1970年代 - 1980年代を中心に孤立林の生物の種数を面積より説明する(種数面積関係)研究が欧米で盛んに行われた。種数と面積との関係は島嶼生物学で盛んに研究されてきたが、ここで培われた理論が孤立林に応用されたものと考えられる。国内での同様の視点での研究は,1990年代後半である。孤立林の、「周囲を森林でない環境に取り囲まれて、種の供給源となる大面積林から離れている」という特性は、大陸から遠く離れている海洋島に類似しており、マッカーサーとウィルソンの種数平衡説などの理論も、孤立林の生態学で応用的に用いられる。 しかし、現実には、孤立林は島とは違った性質も持っている。「島 - 大陸」の関係では、ある孤立した生息地(島)における種の供給源は、大陸や近くにある他の小さな島と仮定できるが、「孤立林 - 連続的な大面積林」の関係では、大面積林だけでなく、農用地、公園や街路樹などの植栽地、河川など、さまざまな種の供給源が存在するため、孤立林周囲からの種の移入は決して少なくない。また、周囲を人工的な環境に取り囲まれているために、人為的な影響も極めて強い。よって、島嶼生物学の知見からだけでは、充分に孤立林の生物の特性を説明することはできず、周囲の土地利用や人為的影響なども加味した景観生態学と呼ばれる分野での研究事例が近年は増えている。
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