天測航法訓練装置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 20:16 UTC 版)
天測航法訓練装置はフライトシミュレータとプラネタリウムを組み合わせたもので、航空機の乗組員の訓練用である。 初期の例として第二次世界大戦で使われた Link Celestial Navigation Trainer がある。高さ14mの建物に収められており、爆撃機の全乗組員(操縦士、航空士、爆撃手)が搭乗可能なコックピットを備えていた。コックピットの計器に基づいて、操縦士がシミュレートされた航空機の操縦を行う。コックピットの上にはドームが設置されていて、そこに星座が映し出されているので、航空士がその恒星を観測して航空機の位置を判断する。航空機がシミュレートされた位置が変化するに従って、ドームに映し出される星の位置も変化していく。また、地上の様々な地点からの電波もシミュレートしており、航空士はそれも参考にして位置を把握する。 コックピットの下には "terrain plates" と呼ばれる大きな移動する地表の写真が設置されていて、乗組員に飛んでいるかのような感覚を与えると共に、爆撃手が爆撃目標を決定する訓練にも使われた。 この装置を操作する人員は装置の下の制御室にいて、天候のシミュレーション(風や雲)を制御していた。制御室ではシミュレートされた航空機の位置も把握しており、地図にマーカーを置いてそれを示していた。 Link Celestial Navigation Trainer はイギリス空軍が1939年に要求したことから製作された。イギリス空軍は60台を発注し、最初の1台は1941年に完成している。イギリス空軍が実際に使用したのは数台であり、残りはアメリカ空軍が数百台規模で使用した。
※この「天測航法訓練装置」の解説は、「天測航法」の解説の一部です。
「天測航法訓練装置」を含む「天測航法」の記事については、「天測航法」の概要を参照ください。
- 天測航法訓練装置のページへのリンク