夢生八翼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/21 08:59 UTC 版)
ある時、陶侃は八つの翼が身体に生え、空を飛んでいる夢を見た。夢の中では天界の門が九つあり、八つの門は入ることが出来たが、一つの門だけ入ることができなかった。そうこうしている内に門番が杖で彼を撃ち落とし、彼は地に落ちて左翼がもがれた。そこで目を覚ましたが、左の脇には痛みが残っていたと言う。 またある時、厠に行くと、朱の衣をまとい大きな頭巾を被る人に出合った。彼は陶侃へ斂板(死者を葬る時に、棺の中に収める札)を見せたが、そこには「君は長者であるので、その報いがある。後に公の位に登り、官位は八州の都督に至るであろう」と書かれていた。 さらにある時、人相見の師圭という人物が陶侃へ「君の左手の中指に縦の筋があるのは、まさに公爵に登る証しである。もしもこの筋が上まで突き通っていれば、君の高位は言う事ができない程にまで至ったであろう」と言った。陶侃は針を突き刺し、流れ出る血を壁に押し付けると、「公」という字が出来た。紙の文袋に手を付けると、「公」という字がはっきりと映し出されたという。 後に陶侃は八州都督に昇って上流に鎮し、強兵を擁することになった。密かに建康を狙う心も有ったが、その都度、翼が折れた夢を思い出し、自制してその考えを止めたという。
※この「夢生八翼」の解説は、「陶侃」の解説の一部です。
「夢生八翼」を含む「陶侃」の記事については、「陶侃」の概要を参照ください。
- 夢生八翼のページへのリンク