外傷性視神経損傷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/16 16:11 UTC 版)
閉鎖性頭部外傷によって視神経が損傷されることがあり、これを外傷性視神経損傷 optic nerve injury, traumatic optic nerve injury という。この場合の受傷部位はほぼ例外なく眼窩上外側縁である。実験的研究では、この部位に衝撃を加えると視神経管上壁に強いひずみを生じ、このひずみが視神経に挫傷を起こすとされる。視神経管上壁は薄い骨で形成されているため、視神経管骨折(視束管骨折)optic canal fracture を伴うことも多いが必発ではない。視神経管上壁の骨が骨折によって偏位したことにより視野欠損を生じている場合には、視神経管開放術を行うと改善することもあるが、視力障害が顕著な場合には効果は望みにくい。このような例では受傷時の挫傷の程度によって予後が決まる。 視神経損傷による視力低下を、視神経管骨折が存在するためととらえるならば早期に視神経管開放術を行うが、これとは別に介達性外力、浮腫、出血を主因子ととらえるならば消炎療法が主体となる。3週間程度の経過観察において改善がなければ開放術を行うという考えもあり、視神経管骨折に対する視神経管開放術の適応、時期に関しての統一的な見解はない。 手術以外の治療法としては、受傷早期にステロイドを使用し、後に血行改善の目的で同側の星状神経節ブロック、高単位のビタミンBの投与などが試みられる。
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