変性と再生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 16:34 UTC 版)
神経細胞の一部が傷つけられると、その場所よりも細胞体から遠い側は変性して壊れてしまう。これを順行性変性という。細胞体のある側にも変性が進行することがあり、これを逆行性変性という。また、神経細胞は互いに神経栄養因子などをやり取りしており、シナプスで接続している細胞が壊れた場合にも、神経栄養因子の不足からプログラム細胞死を起こすことがある。この場合も、前シナプス細胞が死んだことにより後シナプス細胞が死ぬ場合を順行性変性、後シナプス細胞が死んだことにより前シナプス細胞が死ぬ場合を逆行性変性と呼ぶことがある。 障害の程度が激しくて細胞体が死んでしまうと、その神経はもはや再生不能である。しかし、末梢神経の場合には、細胞体が生きていれば、再び軸索を伸ばして目的細胞との結合を回復できることが多い。その過程には、基底膜やシュワン細胞の関与が必要とされる。一方、末梢神経に比べて中枢神経はほとんど再生能力がなく、脳や脊髄の損傷は生涯に渡って後遺症を残すことが少なくない。末梢神経の再生を促進する再生医療技術が実用期に入っているが、中枢神経の再生は開発途上である。人工神経を参照。
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