堆積作用による地形
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/27 03:31 UTC 版)
a 氷堆積(モレーン) 氷堆積(モレーン)は、氷河によって削りとられた漂礫土(テイル)または氷礫土などとよばれる岩屑がつくる地形である。氷河堆積物のうちで、過去の氷河の挙動を探るためにもっとも重要なものは氷堆積である。氷河はその底や側壁の接触面から岩石を搔き取ったり(プラッキング)、氷河におおわれていない側壁上部やヌナタクから転落する大小の岩屑を乗せて下流に運ぶ。側壁から転落した岩屑は氷河の両岸に列をなして堆積し、側堆積(ラテラルモレーン)とよばれる。この岩屑は徐々に下流に移動し、二つの氷河が合流すると片側の岩屑は氷河の中央に出るので、主谷の氷河上には合流する支谷の氷河の数にみあった岩屑の縞模様ができることになる。 氷河の末端では、氷河の前進量と消耗量が釣り合うと氷河の前進は止まり、末端部には氷体に取り込まれていた岩屑や氷河の表面に押し出された岩屑が堆積する。これを終堆積、端堆積(末端モレーン)という。終堆積からは、氷河の拡大した範囲を知ることができる。 b エスカー エスカーは、長い堤防状の地形で、氷河中のトンネル状水路に淘汰のよい成層した砂や礫が堆積し、氷河がとけ去ったあと、長い丘となって残る。丘の高さは20~30m、長さは数kmにも達する。エスカーの延びの方向は、ほぼ氷河の流れの方向を示している。 c 氷縞粘土(ヴァーヴ) 氷縞粘土とは、氷床の末端にできた氷河湖の堆積物である。一枚の年層は、ほぼ数ミリの厚さを有する。氷河湖は、氷床の後退にともないつぎつぎと新しく形成され、古いものは消滅していく。スウェーデンでは、氷縞粘土の花粉分析から、氷床が後退するにつれ、草原から森林へと移りかわる植生の変化が明らかにされている。
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