国鉄クヤ7形電車とは? わかりやすく解説

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国鉄クヤ7形電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/25 00:41 UTC 版)

クヤ7形は、かつて日本国有鉄道(国鉄)に在籍した、事業用直流電車配給車)である。本形式は貨車から電車に改造されたという、稀有の経歴を持つ形式である。

概要

1952年(昭和27年)、戦災復旧車で荷重の少なかったサハ36形に代わって、配給列車に使用されていたトキ10形無蓋貨車を本格的に配給電車に改造したものである。従来は、サハ36形またはトキ10形を電動車で挟んだ3両編成で運用されていたが非効率であったため、この機会に制御車化が行われた。改造は大井工場及び吹田工場で施工され、計5両が本形式となった。

クヤ7形とは、本来70kW(100PS)電動機を装備する電動車と連結すべき木製の付随車(制御車)に付与されるべき形式であるが、本形式は半鋼製であり、制式の電車の系譜や形式付与体系から外れた存在で、国鉄が製作した生れながらの雑形電車というべきものである。1953年(昭和28年)6月1日に施行された車両形式称号規程改正では、雑形に分類され、クル9210形に改称された。この間の形式番号の変遷は次のとおりである。

  • トキ38 → クヤ7001 → クル9210
  • トキ47 → クヤ7002 → クル9211
  • トキ82 → クヤ7003 → クル9212
  • トキ87 → クヤ7004 → クル9213
  • トキ144 → クヤ7005 → クル9214

構造

車体の一端に切妻の運転台を設けており、この部分のみが有蓋である。運転台はごく狭く、乗務員室扉の幅しか無い。妻面は非貫通・切妻の3枚窓となっていて、ロクサン型のような表情となっている。運転台以外の部分は無蓋で、種車にあった木製のあおり戸は撤去されて固定式の側板とされた[1]。本形式は小型であるが、もとが貨車であるだけに荷重は30t(種車のトキ10形は荷重35t)に達していた。

トキ10形のオリジナル台車は、アーチバー式のTR20であったが、電車への改造に際してワキ700形貨車が装備していた高速用の鋳鋼製台車TR24に交換されている。

経歴

落成後の本形式は、クヤ7001 - クヤ7004が東京鉄道管理局、クヤ7005が大阪鉄道管理局に配置され、鋼製配給車や荷物車と組んで使用されたが、1963年(昭和38年)からクル29形への置き換えが進み、1965年(昭和40年)7月に9214が廃車されたのに伴い、形式消滅した[2]

出典

  1. ^ 配給制御車 クル9210」『電気車形式図集 [第1] (国鉄電車形式図集) 改訂版』電気車研究会、1955年、219頁。doi:10.11501/2465101https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2465101/451 図面あり
  2. ^ 和田正光「事業用電車 9210形」『国鉄電車のあゆみ : 30系から80系まで』交友社、1968年、119頁。doi:10.11501/2517212https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2517212/70 クル9213の写真あり

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