国民と国籍
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/12 06:30 UTC 版)
バチカンの人口は832人(2011年7月推定値)であり、彼らはバチカンの城壁内で生活している。バチカン市民のほとんどはカトリックの修道者であり、枢機卿・司祭などの聖職者と、叙階されていない修道士・修道女がいる。教皇庁で働く、修道者以外の一般職員は3000人にものぼるが、彼らのほとんどは市国外(すなわちイタリア)に居住し、そこから通勤している。またスイス人衛兵もバチカン市民である。衛兵の宿舎は市国内にあるが、市国外に住居を持って通勤している衛兵もいる。 聖座の外交官や各省庁の官職にある者は、教皇庁の公用の必要がある場合に、バチカン市国のパスポートを取得することができる。いわゆる外交パスポートに相当するものは、青色の表紙をしている。なお、一般のバチカン市国住民には市国パスポートは発給されない。イタリアとの間の移動、イタリアなどシェンゲン協定国間の移動にはパスポートは不要であるため、欧州連合内は自由に移動できる。 2003年末の時点で、バチカンの「居住権」(いわゆる「市民権」あるいは「国籍」)を保持する者は552名に及ぶ。そのうち61人が枢機卿、346名が司教、司祭などの聖職者である。101名がスイス人衛兵、44人が一般の職員である。全ての者がバチカンの居住権と併せて、従来の国籍も保持している(二重国籍)。 バチカン居住権は聖職者も含め、基本的にバチカンで職務についている期間に限って与えられる。教皇庁の職員の多数を占めるイタリア人職員たちには外交業務などにおいて特に必要がないかぎり、居住権は与えられない。また、バチカンの市民権は上記のように職務に対応する特殊な地位であるため、たとえバチカン市国内で出生しても出生地主義による国籍の取得はできない。 バチカン市庁における女性職員は600人程度で、カトリック信徒であることが必須であるが、初の女性職員は、1934年に採用されたフランクフルト出身のユダヤ教徒、ヘルミーネ・シュパイアーであった。2020年1月には教皇庁外務局次官にフランチェスカ・ディジョバンニが起用され、教皇庁において副大臣級初の女性起用となった。
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