国家の神話
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 22:14 UTC 版)
「エルンスト・カッシーラー」の記事における「国家の神話」の解説
1946年に、没後出版された『国家の神話』では、ナチスなどの全体主義的国家理論を批判的に考察し、プラトン、ダンテ、マキャヴェッリ、ゴビノー、カーライル、シェリング、ヘーゲルらの国家理論を検討した。カッシーラーは20世紀の全体主義体制を、運命の神話と非合理主義によりシンボル化されたものとした。『国家の神話』第一部「神話とは何か」では神話的思考が概観される。第二部「政治学説における神話にたいする闘争」では、「合理的な国家理論はギリシャ哲学に始まった」とし、歴史を記述するにあたり“伝説的なもの(ファビュラスなもの)”を排除しようとしたトゥキディデスを「神話的歴史観に対して初めて攻撃を加えた」とする。古代ギリシアにおける合理的国家論の前提になるのは、自然観(自然の研究)であり、ミレトス学派(タレス、アナクシマンドロス、アナクシメネス)にはなお神話的思考が認められるものの、「起源」(アルケー)の定義において新しい合理的思考が展開される契機となったとしている。
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