固体効果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/02/16 19:12 UTC 版)
固体効果動的核偏極機構を示す最も単純なスピン系は電子・核スピン対である。この系のハミルトニアンは H0 = ωeSz + ωnIz + A∙SzIz + B∙SzIx の様に書ける。これらの項はそれぞれ、外場磁場との電子および核ゼーマン相互作用と、超微細相互作用を表わしている。S と I はそれぞれ電子と核のゼーマン基底を用いたスピン演算子で(単純のためスピン 1/2 を考える)、 ωe と ωn はそれぞれ電子と核のラーモア周波数、A と B はそれぞれ超微細相互作用の永年成分と擬永年成分を表わす。単純の為、|A|,|B|<<|ωn| の場合のみを考えることにすると、A はスピン系の発展にほとんど影響しない。動的核偏極中には周波数 ωMW で強度 ω1 のマイクロ波を照射するので、回転系におけるハミルトニアンは次のように与えられる。 H = ΔωeSz + ωnIz + A∙SzIz + B∙SzIx + ω1Sx ここで Δωe=ωe-ωMW である。マイクロ波照射は、ωMW が ωe に近い場合はを1量子遷移(許容遷移)により励起することができ、電子のスピン偏極が失われる。加えて、超微細相互作用の B 項により引き起こされる小さな状態混合により、ωMW = ωe ± ωn に近い放射の場合電子・核環で0量子もしくは2量子遷移(禁制遷移)が起こりうる。これらの遷移への有効マイクロ波照射はおおよそ ω1∙B/2ωn により与えられる。
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