困難な調査活動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/20 15:05 UTC 版)
地球から水星にたどり着くのは技術的に難しい。なぜなら、水星の公転軌道が地球よりもとても太陽に近いからである。地球から水星に探査機ロケットを飛ばそうとすると、太陽の重力ポテンシャルの井戸に向かって9100万キロメートル飛ばさなければならない。地球の公転速度の30km/sから発射すると、探査機ロケットが水星のそばを通過するホーマン遷移軌道にのるために必要な速度の変化⊿vは、他の惑星探査の時と比べて大きい。探査機ロケットが太陽の重力ポテンシャルの井戸に沿って移動することで解放するポテンシャルエネルギーは探査機ロケットの運動エネルギーに変化するので、水星の近くを素早く通り過ぎてしまわないようにしながら探査をするためには、より大きな⊿vが必要となる。また探査機ロケットが安全に着陸したり安定軌道に入るためには、ロケットのモーターに頼る他にないのだ。なぜなら、水星には大気がほとんどなく、空力減速が除外されてしまうからだ。実際、ロケットを直接水星に向かわせるためには、太陽系から脱出するために必要な燃料よりも多くの燃料が必要になる。結果、今のところ、マリナー10号とメッセンジャーのたった二つの探査機しかフライバイを行えていない。いずれの探査機もNASAのものである。 さらに、水星の周りの宇宙環境は過酷なものである。強烈な日差しと高温という二つの危険が潜んでいる。
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