商業建築
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/24 05:44 UTC 版)
オスマン帝国の商業空間はチャルシュと呼ばれる。チャルシュは伝統的に、貴重品を扱うため強固な建築となっているベデステン、通り市場状の建築であるアラスタ、隊商宿に由来するハン、そして巨大施設であるカパル・チャルシュから成る。イスタンブールの場合、チャルシュは大規模な商店複合施設であるカパル・チャルシュ(「屋根付きチャルシュ」を意味し、「グランド・バザール」とも呼ばれている)を中心として広がっている。イスタンブールのカパル・チャルシュはアラスタと呼ばれる商店が拡張したものであり、本来は別の商業施設で貴金属などを扱うベデステンや、金属加工の工房などをも包含している。グランド・バザールの名の通り、この種の施設としては最も巨大であるが、チャルシュ自体はモスクやハマムを巻き込んでさらにその外側に広がっていた。イスタンブールに限らず、オスマン帝国の町にはかならず街の中心となるチャルシュがあり、アラスタやペデステンのほか、かつて商隊宿泊所であったハン(キャラバンサライ)やパザル(露天市)などの空間もあった。チェルシュは、市場は日本ではペルシャ語に由来するバザールと呼ばれることが多いが、トルコではバザール(トルコ語の発音ではパザル)は露天商を意味する言葉で、定期市を指して用いられる。常設の露天市場もあり、こちらはハルク・パザルと呼ばれる。 オスマン建築の商業施設において、もっともユニークな文化・空間は、1554年にイスタンブールに誕生したカフヴェハーネである。これは今日カフェと呼ばれる喫茶空間の始まりであり、ヨーロッパに取り入れられるやいなや、コーヒー・ハウスとして急速に普及した。ただし、オスマン建築において明確なカフヴェハーネの建築形態はなく、都市の条件や利用客の要求によって柔軟にその姿を変えつつ、現代に至っている。場合によっては、店舗がなくても路地にテーブルを並べただけで成立する。ヨーロッパのコーヒー・ハウスと同じく政治的に重要なものになる場合もあり、現在でもロカルと呼ばれる政党事務所のようなカフヴェハーネもある。
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