同素変態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 00:44 UTC 版)
スズには常温に近い温度にβスズとαスズの転移点が存在する。αスズへの転移では展性が失われ、同時に大幅に体積が増加する。この転移温度は13.2 °Cであるが、アルミニウムや亜鉛などの不純物が含まれると転移温度は0 °Cを下回る。通常の温度範囲では不純物などの影響によりこの転移はほとんど進まないが、極地方のような酷寒の環境では転移が進行する場合があり、スズ製品が膨らんでぼろぼろになってしまう現象が生じる。この現象はスズ製品の一部分から始まりやがて全体に広がるため、伝染病に喩えてスズペストと呼ばれる。アンチモンやビスマスを添加することで同素変態を防ぎスズの耐久性を向上させることができる。 スズに限らず金属にはこういった、温度や圧力に応じて結晶構造が変わる同素変態をみせるものがある。スズではこの同素変態によってその物性が大きく変化する。βスズからαスズには熱力学的には13.2 °Cで変態するが、実際に反応が進行するのは−10 °Cの低温領域からであり、−45 °Cでその反応速度は最大になるが、それでも1 mm進むのに約500時間も掛かる。スズは結晶構造の違いによってさらに161 °C以上でのγスズがあり、これらの異なる単体は同素体と呼ばれ、変態する温度は変態点と呼ばれる。
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