同時廃止
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 05:30 UTC 版)
本来の破産手続では、裁判所が破産管財人を選任し(同法74条1項)、破産管財人が破産財団(破産手続開始決定時に破産者が有する一切の財産)を管理処分して、これを換価し(同法184条)、債権者に分配する(同法193条~215条)。しかし、裁判所が、破産財団が破産手続の費用(少なくとも、破産管財人の報酬相当額が必要である。)にも足りないと認めるときは、破産手続開始決定と同時に破産手続を終了させる決定をする(同法216条1項)。これを同時廃止といい、この場合、破産管財人は選任されない。現在裁判所に申し立てられる破産手続のほとんどは、同時廃止で終了している。(東京地裁本庁を除く) 同時廃止をするのにわざわざ破産手続開始決定をするのは、免責を申し立てることができるのは個人である破産者だけだからである(同法248条)。 法文上は同時廃止にあたって他の要件は要求されていないが、実務上は免責不許可事由(同法252条1項各号)の有無や裁量免責の判断材料に関する調査が必要な場合は破産管財人に行わせるため(同法251条1項)、免責不許可事由の不存在が明らかな場合にのみ同時廃止が行われる。 破産財団が破産手続の費用に足りないものの数十万円程度に上ると見込まれる場合には、裁判所は、債務者に破産財団相当額を積み立てさせ、債権者に分配させたうえで、破産手続開始決定・同時廃止をなすことがあり、これを同時廃止のための任意配当という。
※この「同時廃止」の解説は、「破産」の解説の一部です。
「同時廃止」を含む「破産」の記事については、「破産」の概要を参照ください。
- 同時廃止のページへのリンク