同性間競争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/07 08:03 UTC 版)
同性間淘汰ともいう。異性を巡って同性の個体が争うこと。主にオス同士で行われ、その場合は雄間闘争、雄-雄闘争などと呼ばれる。角や牙などを使って直接争う場合もあれば、威嚇によって済まされる場合もある。チンパンジーやキイロショウジョウバエの精子競争もこれに含まれる。ヒキガエルの鳴き声のように、メスへのアピールのようでありながら、他のオスの排除効果もあった例もある。つまり同性間の闘争が常に一対一で対面して行われるわけではない。 直接闘争を行う種の多くも、通常は儀礼的なディスプレイ行為から始める。儀礼的ディスプレイ行為で勝敗が付かない場合はより進んだ威嚇的ディスプレイ、そして軽い小突きあいを経て本格的な闘争に移行するが、途中で勝敗が決することも珍しくない。これは誰とでもむやみに戦う戦略が進化的に安定な戦略ではないからである。闘争がどこまでエスカレートするかは種にもよるが、その行為によって得られる利益の大きさに左右される。ライオンであれば、年老いたオスの方が若いオスよりもエスカレートしやすい。これは年老いたオスには残された時間が短く、(たとえば死ぬことによって)支払うことになるコストに比べ、利益が大きいからと考えられる。アラビアヤブチメドリのような普段はさえずりによって求愛と儀礼的ディスプレイを行う種でも、時には死に至るほどの闘争が行われる。 過去には儀礼的闘争は種を維持するために無用な争いを避けるためだとして群選択的な説明が好まれたが、同性間競争による死は当時想定されていたより遥かに多いことがわかっている。現在では個体淘汰の視点から、儀礼的闘争は信号(後述するハンディキャップ信号や指標信号など)の交換で済ませることによって個体自体の闘争コストを抑えようとしていると解釈されている。 かつては同性間競争に負けた個体は子孫を残せないと考えられていたが、現在では負けたオスが他の方策で子孫を残そうとする代替戦略(代替繁殖戦略)があることがわかっている。 レンカク、ダチョウはメスが同性間闘争を行う珍しい例。
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